横領したのは従業員なのに追徴課税は会社の義務

 5億円所得隠しのセクキャバグループに大阪国税局が指摘

 日刊デリヘル経営でも紹介したこのニュース。「実質経営者」による5年間に約5億円の所得隠しが行われ、大阪国税局はこの風俗店グループに追徴課税約5億円を支払うよう命じたというのが事件の概要です。

 個人が起こした横領事件でも、税金は横領をした本人ではなく会社が納める義務があるとされています。売上金を持ち逃げされたとしても、その分の所得税を税務署へ申告しなければ所得隠しとみなされ、税務署の調査対象となり、追徴課税を命じられるケースもあります。

 持ち逃げをした従業員に対し、刑事告訴をしても、税金を納める義務は会社にあるというのは変わりません。なぜそうなるのか、『風俗業限定 最強の「節税」』(税理士・松本崇宏著)をもとに紹介してきます。

脱税の種類は3つある!

 では早速、脱税の種類を紹介していきます。

  • 無申告
  • 過少申告
  • 税目別脱税

 以上の3種類が脱税の種類です。

 「無申告」について。これは読んで字のごとく、初めから申告しないパターンです。

 開業するにあたり、警察には届出を提出しても税務署には届出を提出していない場合に発生します。

 次に「過少申告」。これもまた読んで字のごとく売上を本来よりも低く申告したり、経費を水増しして申告することです。従業員が売上を抜いていた・コンパニオンが勝手に裏オプとしてお金を受け取っていた……という場合は、この「過少申告」に当てはまってしまい、個人が行ったことであっても会社の責任とみなされ、追徴課税を命じられることがあります。

 3つ目の「税目別脱税」は特定の項目だけごまかす脱税のこと。『風俗業限定 最強の「節税」』の中では「源泉所得税」をごまかす脱税が一番多い手口として紹介されています。

 源泉所得税とは、従業員に支払う給与から天引きをし、会社が従業員本人に代わって国に治める税金のことです。しかし、一定の金額を下回る給与額の場合、この源泉所得税はかからなくなるのです。これを悪用し、1人に支払った給与額を「3人に支払ったもの」にするなどして申告することで、源泉所得税をごまかすことができます。複数人に支払ったフリをするため、架空の人物を使ったりすることもあり、これは人の出入りが激しい風俗業には多い手口とされています。

 あわせてキャストさんに支払う給与から差し引く源泉所得税はキャストさんから税金を「預かっている」という認識になる中で、一部しか納付をしなかったり、全額納付をせずに自らのポケットに入れてしまう「つまみ納付」というものも「税目別脱税」にあたります。

 いずれも税務署は手口を含めお見通しであり、すぐに脱税が発覚し、追徴課税の対象となってしまうのです。

持ち逃げされたら、納付義務は持ち逃げした本人にならないの?

 「売上金を持ち逃げされた」、「数年に渡り横領していた」という事実が発覚した場合、「過少申告」になり税務署の調査が入る可能性が高まります。

 売上金を持ち逃げされたとしても、横領をされたとしても、刑事告訴をしたところで、申告漏れ分の税金は会社が支払わなければなりません。その理由は、たとえ個人の行動により会社が被害を被ったとしても、このような不正を予防、発見することができず内部統制ができていなかったという観点から、会社が隠蔽したものと「同じ」とみなされる、国税通則法68条1項(重加算税)にあたるからです。

国税通則法68条1項(重加算税)

第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更生があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部または一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に関わる過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割を乗じて計算した金額を重加算税と課する。

「納税者が」という部分がポイントであり、「納税者」はたとえ持ち逃げをされていても会社と判断されるため、過少申告により追徴課税を命じられることになるのです。

 税務署の内部調査が入るきかっけは、内部リークがほとんどです。SNSが発達している今、軽い気持ちで「持ち逃げされた!」やコンパニオンさんが「横領しているスタッフがいる」など書き込むと、その書き込みをもとに税務署が内部調査に踏み込むケースがあります。繁華街がある地域の税務署には風俗業専門の部署があり、SNS(掲示板など)の漏らさずチェックしているので気を付けましょう。

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