「人形」を相手にする風俗店がカナダやロシアで密かなトレンドに

カナダ、トロント近郊の某工業地域。飾り気のないベッドルームで、エリカは今日最初のお客様を迎えるべく身支度の真っ最中だった。約束の時間を前に、世話係が彼女の身体を洗浄し、消毒。その後、ごく普通のフレンチカナディアンの少女に白のタンクトップと黒の紐パンを着せ、彼女の上体を起こし、片足を曲げ、うっとりとしたまなざしをドアのほうへ向けさせる。

ここはセックスドールの風俗店「Aura Dolls」。似たような店舗がロシアからカナダに至るまで登場している(まもなくアメリカにも進出するだろう)。エリカはもちろん生身の人間ではなく、シリコン製の人形。大方の人々には奇妙に思えるかもしれないが、この風俗業界の新業態は、経営者はもちろん顧客をも、売春にまつわる悩ましいジレンマから解放してくれるだろう。

「一番の利点は、お客様が羞恥心や罪悪感を抱くことなく性的妄想を存分に試すことができる点だと思うわ」と語るのは、Aura Dollsでマーケティング・ディレクターを担当するクレア・リー氏。ローリングストーン誌が取材に訪れた日、店はちょうどオープン前の準備にとりかかっていた。

Aura Dollsは客の羞恥心を考慮にいれて、店舗を設計した。客はまず1時間あたりの料金120ドルを支払い、専用通路を通って部屋へ向かう。中で待つのは人形のみ(出口も専用通路になっていて、客同士が顔を合わせることがないよう配慮されている)。制限時間内は、人形とシャワーを浴びるもよし、ポルノを鑑賞するもよし。「余計な穴を開けない」限り、何でも自由に好きなことができる、とリー氏は説明した。水性潤滑ローションやコンドームも完備。コンドームは、安全対策として使用が推奨されている。終了10分前に、インターカムから「終了間際」の警告がアナウンスされる。もし時間を超過した場合は、30分延長分として90ドルを支払わねばならない。

その後、清掃に入る。Aura Dallsの従業員は、忙しい日には次の予約までにたった1時間で人形を洗浄し、準備しなくてはならない。

「スピード勝負ですよ」とリー氏は言う。従業員も手慣れたものだ。リー氏によれば、まず、人形をシャワーへ移動させ、石鹸と温水できれいに洗浄。その後、特製の殺菌剤を入れた水圧洗浄機で消毒し、「バイブレイターのような形状の」UV殺菌ライトを挿入する。それから人形を部屋に戻して着替えさせ、髪を整え、メイクを施したら、あとは次のお客が来るのを待つばかり。

Aura Dollsがオープン準備を進める間にも、既に200組の予約が入っているとリーが教えてくれた。大半は男性客だが、30パーセントはカップルや女性単体の客だと言う。

セックスドールを使った風俗店は、売春が違法の国々でも合法と認められるのが利点だ。アメリカでも、多少罰金や制限を受ける可能性はあるだろうが、合法だろうとH・ルイス・サーキン氏は言う。最近カリフォルニア州で売春の合法化を主張した弁護士だ。

「きっと誰かが目をつけて、アメリカでも商売を始めるのは間違いないでしょう」とサーキン弁護士。「おそらく、昔ののぞき小屋に近いものになるでしょうね。のぞき小屋のいい点は、そこで何をしようとも、完全プライベートで公に出ることはなかった。マイナス面は、わざわざ自慰行為をしに行くということ。自慰行為は淫らで汚らわしいと言う人もいたし、社会の汚点呼ばわりする人もいた。それで、いくつかの店が閉鎖されました」

だが、セックス研究の権威に挙げられるキンゼイ研究所の専門家によれば、セックスドールの風俗店にはまた別のメリットがあると言う。性的体験を求めることを抑制された人々、法的に禁じられた人々、あるいはためらっている人々も、セックスする機会が得られるという点だ。

「社会性に問題を抱える人は、異常な性的表現に極端に走りやすいことがずいぶん前からわかっています」と語るのはジャスティン・リーミラー博士。キンゼイ研究所の研究員で、『Tell Me What You Want』という著書も出版している。「自らが望む性的関係を他者と持つことができないと、ほとんどの人が、性的欲求を満たす代替案として、他者の介在を必要としない手段を模索します」

人形はまた、一夫一妻制の関係で満たされない人々に別の選択肢を提供してくれる。「セックスレスの夫婦かもしれないし、性的満足を得たい夫婦かもしれない。でもだからといって、彼らは夫婦の誓いを破るつもりはないんです」とレーミラー博士。あるいは単純に、まったく新しい体験に惹かれている人もいるだろう。「人間は目新しいものに惹かれる傾向があり、常に自分たちの性的欲求を満たしてくれる斬新かつ刺激的なものを求めていることが分かっています」と博士は言う。著書のリサーチのために、レーミラー博士は4000人にインタビューを実施。その結果、15パーセントがロボットとのセックス願望があったという。だとしたら、本物そっくりの人形とセックスするのも大して変わらない。人形の中には、機械仕掛けのタイプもあるのだから。

もちろん、人形相手に興奮する人がいる一方、大多数の人はセックスドールの風俗店に違和感を覚えるようだ。10月にヒューストンでセックスドール風俗店の開業が提案されたが、市議会が条例を改正し、市民は「非有機体との性行為のサービス業務に携わる」ことができなくなったため、計画は頓挫した。

だがAura Dollsは、世の中の大きな流れの一部だ。そして今後も成長し続けるだろうとセルジ・プリート氏は言う。バルセロナでもブームになりつつあるセックスドール風俗店LumiDollsの共同創業者でCEOだ。今やモスクワ、トリノなどあちこちに業務を拡大し、中にはバーチャルリアリティ・ヘッドセットといった最新テクノロジーを搭載した店もある。プリート氏は、年内にLumiDollsの支店を2店舗以上増やす予定だと言う。ただし、オープン予定地については明かしてもらえなかった。

だがレーミラー博士いわく、風俗業界はもうかるだろうが、従来の売春業に取って代わるかどうかは疑問だと言う。

「男性も女性も多くの場合、性的行為を通して感情的な欲求を満たしたいと願っているんです。誰もが相手から求められたい、承認されたい。自分が有能だと感じたいし、愛されたい」とレーミラー博士。「ですから、人形やロボットとのセックスといっても、本気で求める人は比較的少数だと思いますよ。人間の願望を満たすことはできませんからね」

引用:2018年11月28日 RollingStone japan
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/29517/1/1/1

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