店長がコンパニオンに貸した245万円の返還請求が認められる!

ざっくり言うと…
▼女性を定着させ、出勤率を高める労務管理をすることが期待されていた店長は、金銭に困っているコンパニオンが人気嬢だったため、彼女を引き留めるため個人的に245万円を貸付け。
▼被告女性のコンパニオンは贈与だったと主張。
▼交際関係にあったという被告の主張にも、本人が「恋人ではなく…」と供述している通り、245万円の贈与を受け取るような間柄だったとは認められない。

貸し借り

要旨

 デリヘルの店長が在籍していたコンパニオンに対し、期限を定めず合計245万円を貸した。金銭消費貸借契約に基づき245万円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払い済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めた裁判。

結論

認容。

裁判所の判断

原告(デリヘル店長)の主張。
 3年間で期限の定めなく合計245万円を貸し付けた。
 デリヘル店の店長である原告は「ファッションモデルをしながら、本件店舗でコンパニオンとして稼働していた」被告女性から「頻繁にお金がないから貸して欲しいと求められ、本件店舗の宣伝効果も期待して、モデルである被告を本件店舗に引き留める趣旨で貸し付けた」。

被告(コンパニオン)の主張。
 被告は原告より「合計245万円を受領したことは認めるが、それらが貸金であることは否認」。「贈与を受けたものである」と主張。
 「原告と被告は、当時交際しており、原告は、被告に対し、たびたび小遣いをくれるようになり、被告もそれに甘えてお金をもらい続けた」。245万円のお金は「原告が自発的に贈与してくれたものであり、被告から頼んだものではない」。

1 「原告は、店長として、本件店舗の利益を上げるために、女性をコンパニオンとして定着させ、本人の自由な判断とされる出勤率を高める労務管理をすることが期待されて」いた。「本件店舗の利益は店長の収入(基本給プラス店舗利益の30%)に直結していた」。そのため「店長として、コンパニオンとして上位にランクされた女性に対して、出勤に際して自宅まで送迎したり、誕生日等のプレゼントをしたり、また、金銭に困ったコンパニオンに個人的に金銭を貸し付けたりするなどしていた」。「被告女性は上位ランクのコンパニオン」であり、彼女に対しても「本件店舗に出勤した際に自宅に送迎をしたり」、「誕生日等のプレゼントとしてネックレスや手袋を贈ったり」していた。
 原告から被告に最後の送金があった際のメールでは、送金を催促する内容や仕事が決まれば返済する旨の内容が被告から送られていた(しかし被告は原告に対してお金を「返済したことはない」)。

2 原告は、被告に対し、「在籍している間は、本件店舗に上位にランクされたコンパニオンとして定着させ、出勤率を上げるため」お金の返済を求めていなかった。「その後も資力的にしばらくは返済するのが難しい」と考え、「たまの督促メールぐらい」だったが「メールの送信もできなくなっていることがわかり、弁護士に相談した上で本件催告した」旨を供述していること、被告女性も「何度か返済督促とも受け取れないこともないメールが送られてきたことがあった。」旨を供述している。これらを考慮すると245万円は「貸金として原告から被告に交付されたものであると認めるのが相当」。

3 これに対して「貸金ではなく、贈与を受けたもの」で「原告と被告は、当時交際しており」「たびたび小遣いをくれるようになり」「原告が自発的に贈与してくれたものであり、被告から頼んだものではない」旨を主張。
 しかし被告と原告の交際内容について、被告の供述(「恋人ではなく、友達でもなく、親しくしてもらった頼りがいる人」等)などより「合計245万円の贈与を受けるような間柄であったとは認めがたい」。またお金が「送金される多くの場合には、送金先である被告の主たる預金口座の残高が数千円以下にまで減っていたこと」や被告の原告宛のメール内容からもお金の授受が「贈与されたものであり、被告から頼んだものではない」とも認めがく、被告の主張は「信用することができず」「採用できない」。

コメント

 デリヘル店の店長は皆、出勤率をあげるため頭を悩ませています。女の子の出勤が増えれば売上が上がりますし、減れば売り上げは伸び悩みます。最近はどのお店も女の子に入店してもらうため、さらには定着してもらうためにお店側はどんどん待遇を良くするなどして、女の子の要望に応える管理方法を推進しています。

 原告となったデリヘル店の店長のように、自宅まで送迎したり、誕生日プレゼントをあげたり、そしてお金を貸してあげたりすることも、皆さんも見たり聞いたり(実際行ったり)した経験があるのではないでしょうか。決して珍しいケースではないと思います。原告の店長も彼女が出勤すれば売上が確実に伸びると判断したから、特別扱いをしてでもお金も貸していたのだと思います。

 もし「女の子が出勤してくれれば売上も伸びる、だからお金を貸すぐらい仕方がないこと。それ以上に稼いでくれれば…」と考えお金を貸すことを良しとするにしても安易に貸すのではなくルールにのっとって貸すべきでしょう(期限を設けたり、返済する金額の取り決め、お金を貸せる理由を決める等々)。もちろん借用書は交わすようにしましょう。金額が大きくなるならなおさらです(場合によってはトラブルを避けるため公正証書にしましょう)。女の子とやりとりをしたメールがあるなら残しておきましょう(今回のケースのように後々証拠になることもあります)。

 このような一連の対応が面倒だと感じるなら貸さないか、貸すにしても金額は踏み倒されても納得できる範囲にしておきましょう。お金を貸した相手に対して「返してくれなくても構わない」と思えるかどうかも貸す場合の判断基準になると思います。

 東京地方裁判所 平成28年(ワ)第17693号

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