風俗店に勤務していたことが発覚し懲戒解雇に!

ざっくり言うと…
▼原告女性はパチンコ店のホールスタッフに採用されたが、風俗店で働いていたことを隠し履歴書への記載も行わなかった。
▼後日原告女性が風俗店で働いていたことが発覚。懲戒解雇となったが解雇権の濫用にあたり無効とされた。
▼一方で雇用契約の更新を拒絶することは認められた。

 要旨

パチンコ店A(被告)のホールスタッフとして採用された20代の女性B(原告)。
パチンコ店Aの従業員が風俗店のホームページにBと思われる女性の顔写真が掲載されているのを発見。
本件履歴書及び面接チェックシートにより勤務実績を確認したが、同書類上に本件職歴に関する記載がなかったことをうけ、本人に確認したところ、実際にBは3カ月程度風俗店で働いていたことが判明。
雇入れ時の虚偽の申請による入社及び虚偽の言動による信用の逸脱・店舗のイメージを損なう行為があるとして本件就業規則及び本件誓約書に基づいて予告解雇として原告を1か月後解雇する旨の意思表示をした。

女性Bは解雇を不当だとして提訴。
雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認および未払い賃金の支払いを求めた。

関係図

 結論

一部認容。

 裁判所の判断

解雇権濫用の有無について
・女性Bが風俗店で働いていた期間は約2か月半という比較的短い期間であった。
・就業規則に基づき解雇する旨の意思表示をした後、約1か月にわたり、パチンコ店Aは女性Bをホールスタッフとしての就労を継続させており、企業秩序に対する影響を危惧して客との接点のない職務に配置転換するなどの措置も執っていない。
・女性Bの立場は期間の定めのある契約によるアルバイト従業員に過ぎなかった。

 以上から原告が風俗店勤務経験を履歴書に記載しなかったことによって企業秩序が具体的に侵害されたことがあったとしても、程度としては軽微であった。

採用を望む者が、採用面接に当たり、自己に不利益な事実の回答を避けたいと考えることは当然予測されることであり、採用する側もこれを踏まえて採用を検討するべきであるところ、本件職歴に関しても女性Bが自発的に申告するべき義務があったともいえない。
解雇通告以前において、女性Bの勤務態度等について特段問題があったとも認められない。

以上の事実を総合すると、懲戒解雇としたことは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められない。
したがって、本件解雇は解雇権の濫用に当たり無効。

 更新拒絶の有効性
・本件雇用契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態にあったと解することができない。
女性Bに雇用継続に対する期待があったとしても、その保護の程度については、更新が長期にわたり繰り返されたような場合とはおのずから合理的な差異があるというべき。
そうすると、本件雇用契約の更新拒絶について解雇権濫用法理が類推適用されない。

・女性Bが本件職歴をあえて本件履歴書に記載しなかったことは本件就業規則に規定する懲戒解雇事由に該当する。
そのことがパチンコ店Aの他の従業員によって報告されたという経緯や労使間の信頼関係の根幹にかかわる採用時の経歴詐称という行為の性質に照らしても、パチンコ店Aにおいては、職場の規律維持の観点から、女性Bに対して何らかの処分を行う必要性があった。

・女性Bがパチンコ店Aでの就労を開始した後もなおそれが同店のホームページ上に掲載されていたことは、誓約書をとるなどして従業員の素行に注意を払っていたパチンコ店Aにとって看過できない性質の事柄であった。

・解雇までに1か月の予告期間を与えており、その予告期間の終期は本件雇用契約の期間満了と極めて近接していた。

 総合的に考慮すれば女性Bへの処分を懲戒解雇としたことが行き過ぎであったとしても、本件雇用契約をその期間満了をもって終了とし、以後の更新をしないものとしたことには合理的な理由があり、これをもって社会通念上相当性を欠くということはできないというべきである。

 コメント

懲戒解雇は無効となりましたが、雇用契約の更新拒絶は認められました。
上記にある通り「採用を望む者が、 採用面接に当たり、自己に不利益な事実の回答を避けたいと考えることは当然予測 されることであり、採用する側もこれを踏まえて採用を検討するべきであるところ、本件職歴に関しても原告が自発的に申告するべき義務があったともいえない」と述べ、女性の対応への理解が示されています。

その一方で女性Bが風俗店勤務経験を履歴書に記載しなかったことについては当該パチンコ店の就業規則には「にせの経歴を作り、その他不正なる方法を用いて雇入れられた時」には懲戒解雇に当たると記載されており、裁判所も「原告(女性B)の行為が本件就業規則に規定する懲戒事由に一応は該当する」と述べています。

どこの誰が風俗店勤務歴を履歴書に書けるでしょうか。
女性Bの風俗店勤務歴が発覚したのはホームページに写真が掲載されているのがバレてしまったことがきっかけでした(※なぜ写真が掲載されていたのか、判例からはわかりません)。

風俗店で働いたことのある女性のほとんどが、その経歴を隠したいはずです。
前述したように裁判官も「本件職歴に関しても原告が自発的に申告するべき義務があったともいえない」と述べています。馬鹿正直に書く必要はないのです。

余談ですが女性Bも風俗店のホームページ写真が見つからなければこんなことにはならなかったかもしれません。

辞めた女性、連絡が取れなくなった女性の在籍写真は削除してあげましょう。女性から削除依頼が来たら素直に応じてあげてください。
そして写真を含めた個人情報を外部に漏れないようにすることが必要です。

セカンドキャリアを築きたいと望んでいる元風俗嬢の女性たちを思いやり、不利にならないよう協力してあげてください。

平成23()777号  地位確認請求事件  岐阜地方裁判所 平成25214

人気セミナー情報

「風俗業界に激震?!消費税10%よりも怖い「インボイス制度」とは?!」セミナー開催!

シェアする