風俗営業での遊興事実を公にすると、プライバシー侵害、名誉棄損、肖像権侵害!

ざっくり言うと…
▼月刊誌においてテレビのバラエティ番組に出演していた弁護士(原告)の、キャバクラ店内で女性従業員と会話をする写真が掲載され、記事には女性従業員への取材をもとに、弁護士を揶揄する文章が掲載されていた。 
▼キャバクラの遊興事実の報道に対して、プライバシー侵害、名誉棄損、肖像権侵害が認められる。
▼原告の社会的立場、活動についての公的な性質を踏まえ、一部違法性の阻却(違法と推定される行為について、特別な事情があるために違法性がないとすること)が認められました。

要旨

 テレビ番組にも出演するほど有名な東京弁護士会に所属する弁護士について、月刊誌が「バラエティ番組出演中の有名弁護士を目撃 池袋のキャバクラに通うAの素顔」と題する記事を掲載。キャバクラ嬢と会話をする写真、番組出演中の写真も併せて掲載。弁護士は損害賠償を求めた。

結論

請求認容(30万円)。

裁判所の判断

【プライバシー侵害関係】
 原告がキャバクラで遊興することがあったことは、原告の関係者を除けば一般には 知られていなかったものと認められる。
 キャバクラは主として男性がその配偶者や交際相手以外の女性との交流を求め、比較的高額な飲食代金を支払って接待を受けるもの。原告がこれに頻繁に赴いていたこと、これに関連する店内外での言動や接待を受けている様子等は一般人の感受性を基準にした場合に通常は公開を欲しないであろうと思われる事柄ということができる。
 本件記事及び本件写真を掲載した雑誌の発行及び本件記事のホームページへの掲載は原告のプライバシーを侵害するものと認めることができる。

【違法性の存否】
 原告はテレビ番組に出演した際、日常生活上の様々な法律問題につき自己の弁護士としての見解を披露していた。弁護士は弁護士法により一定の法律事務について独占的に行うことが認められ、基本的人権を擁護し、社会的正義を実現することを使命とし、常に深い教養の保持と高い品性の陶冶に努め、法令及び法律事務に精通することが求められていることからすれば、原告は法律事務を職業として行う単なる一私人という立場を超え、社会において公的な意味を有する存在でもあるということができ、このことをも併せ考慮すると、原告の社会における立場及びその活動の性質は公的な色彩を帯び、これを通じて原告が社会一般に対して多大な影響を及ぼしていたということができる。
 報道は原告の社会的な活動に対する批判ないし評価の一資料になり得るものであり社会の正当な関心事に係るものということができる。

 【名誉棄損について】
 原告が弁護士として高い品性の陶冶に努めることを求められていることにかんがみると、女性従業員から接待を受ける場であるとはいえ、そもそも風営法による規制における客の性的好奇心に応じて役務を提供する業種とは異なるキャバクラの店舗内であるにもかかわらず、女性に対する節度ある接し方をわきまえない品性に欠けた人物であるとの印象を一般に与えるものとみることができる。
 全国的に流布されることにより、弁護士としての原告に対する社会的評価は相当程度低下したと認められる。

 【肖像権侵害の有無】
 原告が被告に対し,本件写真(女性従業員と会話をする原告の上 半身を撮影した本件写真およびテレビ番組に出演中の原告の上半身を撮影した本件写真)を掲載することについて、いずれも個別の承諾をしていないことについては当事者間 に争いがないから、原告の肖像権を侵害するものということができる。

コメント

 キャバクラで遊んだという事実を公にしたことで、(しかも公人であっても)名誉棄損、プライバシー侵害、肖像権侵害が認めらました。相手が私人であればなおさら危険だということは皆さんお分かりになると思います。しかも性風俗店で遊んだことを公にしてしまえば罪に問われることを免れることはできないでしょう。
 最近ではSNSや匿名掲示板も広く普及して、個人で情報を拡散することも可能な時代になっています。性風俗産業における顧客の個人情報管理は万全でしょうか。店舗スタッフやキャストへの指導がとても重要です。
 プライバシー侵害は刑法で刑事罰が規定されていませんが、名誉棄損罪は刑法に規定される犯罪になります。また投稿内容がプライバシーの侵害となる場合、刑事上の責任が発生しなくとも民事的な責任は免れません。不法行為が成立した場合は損害賠償責任を負うことになります。

東京地方裁判所 平成14()26959号 損害賠償請求事件

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