「出会い系サイト」で女性を装い遊客を募る「援デリ」業者。援助交際に見せかけ中間搾取するも売春防止法違反(周旋)が確定。

ざっくり言うと…
▼被告人はいわゆる「出会い系サイト」を利用して遊客を募る派遣型の風俗業を経営。ドライバーとして雇っていた男が出会い系サイトに女性を装いアクセス。そこで不特定の遊客に売春の相手方として女性を紹介した。被告人は1審ではデリヘルを経営していたに過ぎず売春の周旋の共謀はないと無罪を主張するが有罪判決。
▼控訴審において、被告人は相手方の携帯番号を確認して連絡が取れるものだけを相手にしており、「不特定の相手と性交すこと」という売春防止法2条の要件に当てはまらないと主張したが、出会い系サイトで不特定の遊客を募っていたことが明らかのため、その主張は受け入れられない。控訴棄却。
▼遊客に対し被告人らの存在を隠していたため、遊客においては、被告人らが介在して女性を紹介していた事実を認識していなかったというような事実関係の下では、売春防止法6条1項の周旋罪は成立しないと主張最高裁の判決として、周旋罪が成立するためには、売春が行われるように周旋行為がなされれば足り、遊客において周旋行為が介在している事実を認識していることを要しない。確定。

要旨

被告人の男はデリヘルの経営を行っていたが、やがて出会い系サイトに女性を装って書き込みし、客となる男を探すようになった。サイトに書き込む担当は主にドライバーの男が担当していた。マニュアルには「本番」はできないことを記載。しかし女性従業員は面接の際に被告人の男に「本番をしてもらう」と説明を受けたと供述した。ドライバーの男性も採用される際に「本番ありのデリヘル」「マニュアルは警察対策だ」との説明を受けを受けたと供述した。被告人の男はドライバーと共謀し出会い系で勧誘した客に女性を紹介し売春を周旋したとして検挙された。

結論

第一審 有罪
控訴審 控訴を棄却
上告審 上告を棄却、確定

裁判所の判断

【第一審】
 被告人は出会い系サイトを利用して遊客を募る形態の派遣型売春デートクラブを経営。被告人とドライバーの男性は共謀の上、不特定の遊客から電子メールで売春婦紹介の依頼を受けて、売春婦を派遣。遊客と売春婦を引き合わせて紹介。売春の周旋をした。

 被告人はデリヘルだと主張。売春の周旋をしたという事実はないと無罪を主張。男性ドライバーが出会い系サイトに女性を装ってアクセスし、遊客を売春の相手方として紹介して売春の周旋をした事実に対しては争いがない。争点は被告人と実効性犯である男性ドライバーとの間で売春の周旋の共謀があるか否か。  被告人は「コンパニオンの仕事の手順」と題するマニュアルを作成。その中に「〈3〉客と会えたら、デリヘルという事を説明する。」「90分20000円の料金や、本番は出来ない等、サービス内容を詳しく説明」という記載があった。  売春行為を行っていた女性の供述では、被告人の面接を受けた際本番をしてもらう、すなわち売春する旨の説明を受けた。マニュアルには、本番は出来ないと書いてあったことから、本番はするのですかと尋ねると、被告人は本番はしてもらうと答えた。  男性ドライバーは過去2度被告人の店で仕事をしており、その時は普通のデリヘルだった。3度目の仕事をするにあたって、本番ありのデリヘルだと説明されて仕事をするようになった。マニュアルは警察対策だと説明されたと供述。  本件各犯行は、ミニバン内に女性を待機させておき、出会い系サイトで客を誘い出して女性を引き合わせるというもので、犯行態様は組織的・悪質であり、被告人は経営者として首謀的役割を果たしてる。有罪。

【控訴審】
 控訴の趣旨として、被告人は男性ドライバーと共謀の上、売春の周旋をしたことはなく、仮に売春周旋の事実があったとしても、これは売春防止法2条所定の「不特定の相手と性交すること」には該当せず、売春防止法違反の罪が成立する余地はないと主張した。  被告人は、いわゆる出会い系サイトを利用して遊客を募る派遣型風俗業を経営、複数名の女性従業員を雇い、女性を送迎する男性ドライバーを雇い入れていた。女性従業員が複数の遊客を相手に売春行為をおこなっていた。  女性従業員は採用面接の際に、被告人から「売春はしてもらう」と告げられて、売春を前提に採用されていた。その後遊客相手に売春行為を繰り返していた旨の供述、男性ドライバーも被告人から雇われる際に、女性を売春させる本番屋の手伝いをしないかと誘われた旨供述している。これらの供述に不自然・不合理な点はない。遊客の供述等によっても裏付けられている。  被告人は出会い系サイトにおいて電子メールのやりとりをしている間は売春の相手に方になることは決まっておらず、女性と接触してから決まったのであるから遊客から「電子メールで売春婦紹介の依頼を受けた」という認定は事実誤認だと主張。  被告人らは出会い系サイトで遊客を誘引する際に「ゴムあり別2」などと売春行為をほのめかす内容を書き込みし、応答してきた遊客に女性を引き合わせて売春をしていたことは明らか。    被告人らはまた、相手方の携帯番号を確認して、連絡が取れるものだけを相手方としていたから「不特定の相手と性交すること」という売春防止法2条の要件に当てはまらず、売春防止法違反の罪は成立しないと主張したが、出会い系サイトで不特定の遊客を募っていたことが明らかであるから、その主張は受け入れられない。

【上告審】
 被告人はいわゆる出会い系を利用して遊客を募る形態の派遣売春デートクラブを経営し、男性ドライバーと共謀の上、女性従業員に遊客を引き合わせて売春をする女性として紹介したものであるが、出会い系サイトに書き込みをして遊客を募る際には売春をする女性を装い、遊客の下には直接女性従業員を差し向けるなどして、遊客に対し被告人らの存在を隠していたため、遊客においては、被告人らが介在して女性従業員を売春をする女性として紹介していた事実を認識していなかったと主張。そのような事実関係の下では、売春防止法6条1項の周旋罪は成立しないという。  しかし売春防止法6条1項の周旋罪が成立するためには、売春が行われるように周旋行為がなされれば足り、遊客において周旋行為が介在している事実を認識していることを要しないと解するのが相当。

コメント

 出会い系サイトで不特定の男性相手に売春の周旋を行っていたとされる「援デリ業者」の売春防止法違反(周旋)について争われた裁判です。「援デリ業者」の男性ドライバーが出会い系サイトへ女性を装ってアクセスし、売春の周旋を行っていたことについては当事者間に争いはなく、一審での争点になったのは被告人と男性ドライバーの間に売春周旋の共謀があったかどうかという事でした。

 被告人は警察対策で「コンパニオンの仕事の手順」なるマニュアルを書面化して「本番は出来ない」などを表記し、一見健全なデリヘルを装っていました。一方で女性従業員の採用に際して「本番をしてもらう」などの発言があったことが明らかになるなど、従業員の供述がすすむにつれ、派遣売春デートクラブとしての実態が明らかになっていきました。また当該男性ドライバーは被告人と売春の周旋行為をしていたことの自白もあったようです。上告審での被告人側は、遊客が売春の相手方になるように誘引されていると思ってない(気づいていない)のだから問題ないという旨の主張を展開しました。お金で割り切ってセックスしたいと考えている男性側としては、合意した金額でセックスさえできればいいので、そこにお店が介在してようがどうでもいいことでしょう。

 判決としては客が援デリを利用したことに気付いていなくても、業者が周旋行為をしていたのであれば、それは売春防止法違反であると認められました。控訴審や・上告審でも売春防止法の抜け穴を見出そうとするような「援デリ業者」側の主張がありましたが、全て否定され、デリヘル店を自称しながらも集客・案内・接客までの各段階における違法な態様が認定された結果になりました。改めて言うまでも無いですが、売春は違法です。健全にデリヘルを経営されている方の中にも書面で本番行為禁止を誓わせたり、事務所や待機所に「本番禁止」の張り紙をしながらも、面接や日常の会話で本番行為をすすめたりほのめかしたりしていないでしょうか。そういった言動さえ違法だとされる可能性が高いです。女性が勝手にやったでは通用しません。売春行為に抜け道はないと肝に銘じておきましょう。

(定義)
第二条 この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。
(周旋等)
第六条 売春の周旋をした者は、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 売春の周旋をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者の処罰も、前項と同様とする。
一 人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。

<第一審>平成22312日 大阪地方裁判所 平成21()1741号 
<控訴審>平成2297日 大阪高等裁判所 平成22()556
<上告審>平成23824日 最高裁判所第一法廷 平成23()1721

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