暴力団員との広告掲載契約 公序良俗に反し無効!支払った広告料の返還を認容

ざっくり言うと…
▼風俗店営業会社が、暴力団員が編集・出版している広告雑誌に広告掲載し広告料を支払っていたことは、実質はみかじめ料である。
▼暴力団の威力を背景とした威圧的言動を用いて締結されたもので、広告掲載契約は公序良俗に反し無効。不当利得として返還請求が認められる。広告料返還訴訟は不当訴訟にはあたらない。
▼暴力団が編集・出版している広告雑誌への掲載契約を締結させられたことが不法行為だとして精神的苦痛を受けたとの主張につき、脅迫的言動を用いて契約を締結させており、経営者個人の精神的苦痛を受けた事実は認められるが、会社の損害という事はできない。

 要旨

広告料請求本訴事件。不当利益返還等請求反訴事件。

暴力団員と風俗店経営者間の広告掲載契約は公序良俗に反し無効。裁判所は支払った広告料の返還請求を認めた。

 結論

本訴棄却。

反訴一部認容、一部棄却。

 裁判所の判断

【本訴原因】
本訴被告(反訴原告:風俗店経営者)は本訴原告(反訴被告:広告雑誌)は広告料を月10万円(消費税別途)として平成2010月広告掲載契約を締結。平成2111月号、平成2112月号、平成221月号に広告を掲載したが広告料の支払いがない。この契約に基づき3か月分の広告費の支払い及び遅延損害金を請求。
被告は原告に対し、平成2011月頃から月額105,000円を支払ってきたが、その実質は原告が所属する暴力団へのみかじめ料であり、この契約は公序良俗違反により無効。また平成2111月号以降については広告掲載を依頼していない。

【反訴請求原因】
原告と被告は平成2010月に本件契約を締結。
契約に基づき合計945,000円を支払った。これはみかじめ料で公序良俗に違反し無効である。そうすると支払った金額は不当利得となる。
原告は自らが暴力団員であることを示しつつ契約の締結を要求した。原告の本訴請求はみかじめ料という社会的に認められない金銭の交付を要求する訴訟であり不当な訴訟。

【本訴について】
契約締結の際、契約期間について何ら話し合いを行っていないのであるから、本件特約が成立していないのは明らか。また原告は被告から具体的依頼のないまま広告を掲載しているので広告料を請求できないのは明らか。

【反訴について】
公序良俗違反について。原告が所属する暴力団の存在を示して威圧的言動をした上で、その翌日に本件締結をしているのであり、その過程における原告の言動は、脅迫同然の反社会的なものであったといわざるを得ない。
契約の形式は広告掲載契約だが、広告料の実質はみかじめ料であり、締結過程においても暴力団の威力を背景とした威圧的言動が用いられており、契約内容も契約締結過程も反社会的なものと言わざるを得ない。本件契約は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律による禁止の対象となるか否かに関わらず、公序良俗に反し無効である。

 コメント

 暴力団が編集・出版する広告雑誌掲載に伴う広告料はみかじめ料にあたるとされた裁判。いままで広告費として支払っていた分の返還請求が認められました。暴力団の威力を使って威圧的言動を用いて契約がなされたものは反社会的で無効だとされています。「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)」によってもみかじめ料を要求する行為は禁止されていることは周知の事実ですが、雑誌を出版し広告料を支払わせるという一見すると合法的に見えるやり方も否定されたことになります。

 この裁判のケースでは暴力団関係者がその威力を背景に威圧的な言動で脅し、広告掲載契約を締結させたわけですが、なかには店を経営するにあたって暴力団によるトラブルの仲裁などの行為を期待するような考えがあるかもしれません。これまでそのような「付き合い」が発覚しても罰則の対象となるまで「勧告」や「公表」などの段階を踏んでいましたが、最近では各都道府県の暴力団排除条例などによっては「みかじめ料」や「用心棒代」を支払う店側にも即時罰則の対象となるような条例改正の動きが出てきています。

各地の風俗街が続々指定「暴力団排除特別強化地域」。「みかじめ料」の授受が確認されれば一気に摘発の対象に!

 暴力団関係の付き合いを要求されたりしている方、トラブルに困っている方は、各都道府県に相談窓口も用意されていますので、まずはそちらを利用してみてはいかがでしょうか。

平成23720日 静岡地方裁判所浜松支部/民事部/判決 平成22()565

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