「本番強要」して「従業員を殴った」客に無罪判決?!

 本番強要し、なおかつ、風俗店の従業員に殴り掛かり顔面を陥没骨折させる重傷を負わせた客が無罪となる判例が出ました。一見、無茶苦茶な判例ですが、その論旨はどのようなものなのでしょうか?

ざっくり言うと・・・
▼「本番」を強要した客に、風俗店従業員が詰め寄ったところ客から暴行を受けた。
▼客は従業員の顔面を拳骨や灰皿で数回殴り、顔面を陥没骨折させた。
▼裁判所は、この客を無罪とした。
 
「本番強要」して「従業員を殴った」客に無罪判決?!

要旨

 風俗店のサービス外の行為をした被告人(客)に対して、風俗店の従業員がホテルの被告人の室内に入り大声で怒鳴るなどしたことを、報復や不当な金銭的要求をされると誤審して、その従業員の顔面を拳骨や灰皿で数回殴って怪我を負わせたという事件。
一審で懲役2年6月、執行猶予4年の判決を受けた被告人が控訴し、盗犯法上の正当防衛又は誤想防衛が成立すると主張した。

結論

 被告人の行為は「誤想防衛」が成立し無罪。

裁判所の判断

 被告人(客)の承諾なく風俗店従業員が客室に立ち入り、歩み寄って大声で一方的に怒鳴りつけ、顔を近づけたことは到底穏当なものではない。
 
 被害者が本件客室に立ち入った目的として女性の救出を挙げているが、そのような目的は認められない。
→女性は被告人に対し性的サービスを行いその際性交をされたが、暴力を振るわれておらず、無理にされたものではない(女性は店舗に電話をし性交をされたと告げたが、暴力を振るわれたとも無理にされたとも言っていない)。デリヘル店の従業員が救出を要すると誤解するような状況もなかった。
→また店からホテルに対して客室のドアを開けないでくれ(フロントにおいて各部屋の施錠・解錠が一括管理されている)との電話連絡をしており、救出を要するような状況ではないと認識していたことがうかがえる。
 
 ホテルと契約し客室を利用していたのは被告人であり、女性の承諾により風俗の従業員の立ち入りが正当化されることはない。
 
 風俗店従業員の上記行為は慰謝料の名目で金銭を支払わせるためであり、その金額も100万円という多額を想定していたこと、これを目撃した女性が「ものすごい勢いで一方的に怒鳴っていた」ことから相当激しいものであったと認められる。
 
 また被告人は風俗店従業員への暴行に及ぶ前に自らの携帯電話で110番通報しようとしていたことなどから、被害者からの身体への攻撃が差し迫っているものと誤審した可能性は否定できないとした。
 
 風俗店従業員の客室への立ち入りやその後の行為の態様から被告人の誤審は驚愕によるものであり、被告人の暴行は防衛の意志によるものとされた。

コメント

 普通の感覚では、納得がいかない判例ですが、これが法律の世界です。「本番強要」をし、「従業員を殴り陥没骨折」させても「無罪」。

 その根拠となったのが「誤想防衛」、つまり「ああ、大きな声を出されて怖いよ!もうヤバイよ」と思ったので、殴っても無罪という判決になりました。

 この判例からもわかるように、客の承諾がないまま客室に不法な方法で侵入すると、監禁したとしてお店側が不利になることもあります。また直接の金額を請求したり、暴行と捉えられる行為は絶対に厳禁です。顧客に証拠となる録音を撮られている場合もありますから、大きな声を出して相手を威嚇したり脅迫ととらえられるような言葉遣いには注意すべきでしょう。

風俗従業員に対して暴行に及んだ「本番強要」客に無罪判決
広島高等裁判所岡山支部 平成30年3月14日(う)第104号

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