店外で不貞を重ねた男(夫)女(元デリヘル嬢)…妻が女を訴え損害賠償請求が認められる!

ざっくり言うと…
▼原告X2(夫)はデリヘルを利用した際に、本件店舗に勤務していて原告の元へ派遣された被告(コンパニオン)と出会った。その後原告X2と被告は店舗外で会うようになり、不貞関係を持った。また原告X2は全61回にわたり合計714万4,000円の金員を交付し、被告はいずれもこれを受領していた。

▼原告X1(妻)は原告X2と被告が5年という長期にわたって不貞関係を持ち続けたこと、714万4,000円の共有財産が被告に渡ったことに対し耐え難い精神的苦痛を受けたとし慰謝料を請求。原告X1(妻)の訴えが一部認められる。

▼一方原告X2は714万4,000円の金員は贈与したものではなく貸したものであると主張したが認められなかった。原告X2と被告はいわゆる愛人関係を持ち、その維持のために金員を交付したものとの事実関係が想起されると判断された。

要旨

原告X1(妻)においては、原告X2(夫)と被告(風俗嬢)が不貞行為に及んだとして、その慰謝料の支払いを、原告X2においては、被告と関係を有する中で被告に貸し付けを行ったとして、その返還を求めた事案。

結論

原告X1(妻)の請求は一部認容。
原告X2(夫)の請求は理由がないから棄却。

裁判所の判断

【当事者の主張】
被告の主張
 原告X1は電話で会話をした際に、被告に対する損害賠償請求権(不貞行為を行ったことによる慰謝料等)を放棄する旨合意した。

原告X1の主張
 電話で話したことは事実だが、和解に応じた事実は全くない。よって損害賠償請求権は有している。
 その慰謝料は被告が5年という長期にわたって不貞行為を持ち続けたこと、原告X2が請求している通り714万4,000円もの共有財産が被告に渡ったこと、原告X2が被告に関係を断つ旨連絡した後も、関係の継続を希望するメールを繰り返し原告X2に送信したこと等から耐え難い精神的苦痛を受けた。

原告X2の主張
 本件金員は原告X2が被告に貸し付けたもの。
 被告は原告X2に対し、店を辞めたいが事情により辞められず困っている、20万円ほど貸してほしい旨求め、被告に好意的な感情を有していた原告X2はこれに応じた。以後何かと理由をつけ金銭の借り入れを求めるようになり、原告X2はこれに応じた。被告に対し金銭消費貸借契約に基づき、本件金員返還を求める。
 本件金員358万4,000円に関しては引っ越し費用や賃料が捻出できないから貸してほしいと申し向けられ金員を交付したもの。しかし実際には転居しておらず、仮に金銭消費貸借契約の成立が認められなかったとしても不法行為に基づく損害賠償請求として支払いを求める。

被告の主張
 借入の事実はなく、本件金員は原告X2が被告に贈与したもの

【裁判所の判断】
 原告X1の請求について
 離婚には至っていないものの本件不貞行為により破たんの危機に瀕していると評すべき状況にあること、不貞行為の期間は約3年と長いものであること。本来原告ら夫婦の共有財産であるべきものが不貞行為を原因として失われたものであること。他方で不貞関係は元々原告X2が本件店舗(デリヘル)を利用し被告と個人的に連絡をとるようになったことから始まるなど、被告が主導的とまでは言い難いこと等を考慮し、認められるべき慰謝料は200万円が相当と認める。

原告X2の請求について
 金銭消費貸借契約に基づく返還請求にしても、詐欺による不法行為にしても、被告が否認しているだけでなく、客観的な証拠がない。
 本件店舗を少なくとも十数回利用しており、被告に対する関心を強く有していたとみるのが自然。当時性的関心を抱いていた被告と、個人的に連絡先を聞き、店外で会い深い関係になること、類似行為ではなく性行為に及ぶことを望んで被告の歓心を買うための行動に出ることは当然ともいえる。自身は被告に対して特別な感情も興味もないのに強く請われてしぶしぶ金員を渡したことばかり強調する点において、根本的な構図について偽っている可能性を否定できず、信用性を大きく損ねる。

 本件店舗に勤務していたころは客として被告の接客を受け、以後利用する度に指名し、そのうち金員を渡し、辞めた後も数年にわたって金員の交付は続いた。こういった客観的事実経過をみれば原告X2と被告はいわゆる愛人関係を持ち、その維持のために本件金員を交付したものとの事実関係が想起される。
 主位的請求原因である金銭消費貸借ないしその要件としての返還合意についても、予備的請求原因である詐欺の不法行為ないしその要件としての欺罔行為についても、原告X2の供述に信用性を認めることはできず、その他の証拠によっても認めることはできない。

コメント

 婚姻関係にある原告X1(妻)と原告X2(夫)が被告である元デリヘルコンパニオンに対し、それぞれ不貞行為に対する慰謝料、金銭消費貸借契約に基づく金員の返還を求めた裁判。結果妻が請求した慰謝料については認められ、夫の金員の返還については理由がないとされました。

 配偶者以外の異性と自由意志で肉体関係を持てば不貞行為になるわけですが、もし仮に被告女性が店(デリヘル)を辞めずまた店外で原告X2と会っていなければ、責任を負う必要はなかったかもしれません。裁判でも原告X1(妻)が不貞関係の期間を「5年間」と主張しましたが裁判所は「約3年」と判断しています。「5年間」デリヘルで初めて接客してから発覚するまでの期間ですが、「約3年」は被告(コンパニオン)が店を辞めてから発覚するまでの期間と同じです。性的サービスを行う風俗嬢の場合は基本的には不貞行為の責任を負わされることはないと言われています。なぜなら自由意思でなく、請け負った仕事として業務を遂行しているだけだからです。

 原告X2が被告女性に貸していたと主張していた700万円を超えるお金は、平たく言うと被告女性の歓心を買うためのお金と愛人関係を維持するためのお金と判断され、訴えを一蹴されています。裁判の中でも指摘されていますが被告女性が原告との関係をもとにお金を無心するようなやりとりのメールが残されていました。「月々のお手当」「愛人料」だと被告が述べているように、メールの内容が愛人関係を裏付けるような印象をあたえたようです。

 判決文を読む限り実際にそうだったのでしょうから原告X2に同情の余地はありません。しかしこのような金銭トラブルは別のトラブル(暴力行為やストーカーなど)へとつながる可能性もあります。皆さんが運営されているお店の女性たちには店外でお客様と会うリスク。またお客様とお金の貸し借りをすることのリスクの周知徹底が必要ではないでしょうか。この裁判はそれらのリスクが凝縮されている事例だと思います。

東京地方裁判所 平成28年(ワ)第43167号 平成30年1月19日判決

人気セミナー情報

行政書士は見た!間違いだらけのメンズエステ経営

シェアする