手淫・口淫…等「性交類似行為」は職業安定法上の「公衆道徳上有害な業務」

ざっくり言うと…
▼性風俗関連特殊営業は社会一般の道徳観念に反する。
▼届出をして風営法の規制を遵守していても、職業安定法上の「公衆道徳上有害な業務」に該当。
▼広告を見て応募してきた女性を「勧誘」した者に、職業安定法違反で有罪判決。

有害業務

要旨

 店舗型風俗店の経営者と従業員らは同店舗において、不特定多数の男性客から対価を得て、性類似行為をするマッサージ嬢の業務につかせる目的で、「アルバイトレディ大募集 日給55,000円以上 入店祝い金30万円支給」などと広告を掲載した上、広告を見て応募してきた女性3名に対し「みんなやってるし、簡単な仕事やからすぐに慣れるよ」などと申し向けて勧誘。公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者を募集したとして逮捕。

結論

「公衆道徳上有害な業務」に該当。職業安定法違反で有罪判決。

裁判所の判断

 弁護人は公安委員会に対し風営法に基づく届出をし、その届出通りの接客サービスを実施しており、サービスについても他の店舗とほぼ同様のものだと認識、経営者及び従業員には自己の業務が公衆道徳上有害な業務であるという認識はなかったと主張。

 しかしマッサージ嬢である女性従業員に各個室内で不特定多数の男性客を相手にお互い全裸になった上で、性交類似行為をする業務に従事させていたと認められ、前記業務自体が婦女の人としての尊厳を害する点で、社会一般の通常の倫理、道徳観念に反して、社会の善良な風俗を害するという点で、売春との間に実質的な違いは認められない。

 風営法所定の規制に違反しないとしても、前記業務が職業安定法上の「公衆道徳上有害な業務」に該当しないことにはならない。

 経営者及び店長は営業に不可欠なマッサージ嬢を確保するため、性交類似行為の業務に就かせる目的で、高額の報酬をうたった広告を度々掲載。これを見て応募してきた女性に、稼働すれば高額の報酬が得られるなどと言葉巧みに勧誘、実技指導を施す等して翻意できない状況をつくり、業務に就くことを決意させた。

 中には男性客の求めに応じて性行為に至るものもおり、経営者らの勧誘行為が、公衆道徳上有害な業務を助長、労働者個人はもとより社会一般の通常の倫理観念の保持にも多大な悪影響を与えた。

 被告人両名が自分たちの行為には有害性がないと主張し、今後も営業に関与することを明言。女性を確保するために再販に及ぶおそれも否定できないことに照らすと、犯情は悪質、弁護人が主張する罰金刑をもって処断すべき事案とは到底認めらえない。

 懲役1年6ヶ月。執行猶予3年。

コメント

 性風俗特殊営業に関わる全ての人が理解しておかなければいけない判例といえるでしょう。法律では禁止されていない「性類似行為」について「有害業務」に含まれるとされるため、性風俗店に女性をコンパニオンとして紹介したり、声をかけて誘ったりするという行為は厳禁です。ちなみにアダルトビデオやストリップへの出演についても「有害業務」に当たるとされています。女性が裸になる仕事は「有害業務」ということのようですね。

 では店舗スタッフとしての仕事はどうなのでしょう?風俗情報サイトの運営は…?
それについては判例がありませんので何とも言えませんが、今後何らかの判断が出るかもしれません。性風俗を生業とする以上、常に頭に片隅に置いておく必要があります。

事件番号 平成13(わ)740
神戸地方裁判所 平成14年7月16日

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