『ホテル代込○○○○○円!』キャンペーンはやってはいけない!!その理由とは?

ざっくり言うと…
▼『回春エステ』が『レンタルルーム』と契約し自店の個室のように使用していた。
▼両社は別法人で違法性がないように見えるのですが…。
▼派遣型店舗がレンタルルームやラブホテルと提携して個室を確保している場合「個室を設け」に該当する為、違法。

要旨

 派遣型マッサージ店(無店舗型性風俗特殊営業)の経営者がレンタルルームを利用してコンパニオンに性的サービスをさせていたが、これが店舗型性風俗特殊営業にあたるとされ風営法違反で検挙。有罪となりました。

結論

 第一審では風営適正化法違反罪は成立しないとされましたが、高等裁判所において原判決破棄。懲役6年執行猶予2年の判決がなされました。弁護士が上告しましたが最高裁は上告棄却を決定し確定しました。

裁判所の判断

 無店舗型性風俗特殊営業である派遣型マッサージ店の経営者がレンタルルームの個室についてあらかじめ取り決めておいた合意内容に基づいて、実質的に個室マッサージ店が自店建物内の個室を使用するのと全く同様のものとして使用していたといえる。このような場合には個室を設け、当該個室において性的サービスをを提供する営業を営んだと評価することができる。

 被告人はその雇用するマッサージ嬢を、別の営業主体が営み、かつ、店舗型特殊営業の用に供する政令で定める施設を設け、届出がされているレンタルルームで、派遣型マッサージ店の受付や待合室とは区別しうる区画にあるレンタルルームの個室に、客と共に行かせて、その個室において性的サービスの役務を提供されていたのであって、極めて形式的に見れば、無店舗型性風俗特殊営業たる派遣型マッサージ店を営んでいたにすぎず「個室を設け、当該個室において(性的サービス)を提供する営業」を営んだものではない、と考えることもできないわけではない。

 しかし「派遣型マッサージ店」と「レンタルルーム」の位置関係・構造、出入口付近の外観、広告の態様、個室の利用料金についての優遇措置や支払い方法、マッサージ嬢の待機及び男性客が来店した際の受付・案内の仕組み、本件当日ころの「レンタルルーム」の利用状況などにかんがみると、実質的に「個室マッサージ店」が「レンタルルーム」の個室ついて、あらかじめ取り決めておいた合意内容に基づいて、自店建物内の個室を使用するのと全く同様のものとして使用していたといえるのであって、このような事実関係の下では個室を設け、当該個室において上記のような役務(性的サービス)を提供する営業を営んだものと評価できる。

 さらにこの場合に風営適正化法28条2項違反の罪が成立するには、主観的要因として、営業者が風営適正化法ないしは同法施行条例の営業禁止規制を潜脱(法令等による規制を法令で禁止されている以外の方法により免れること)する意図をもって行為することは必要ではない。

コメント

 判例を読む限り無店舗型性風俗営業でありながら、店舗型としてかなり露骨に営業されている事例に思われます。この中で指摘されている通り無店舗型性風俗店と(役務の提供)とレンタルルーム(場所の提供)が別法人だったとしても、実体として一体的な営業がなされていれば、それは店舗型性風俗特殊営業にあたるわけです。

 また派遣型を装いつつレンタルルームやラブホテルと提携して個室を確保しているような場合は「個室を設け」に該当し、風営法違反にあたります。「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(平成30年1月30日)」のなかにも以下のようにはっきりと記載されています。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準
参考:https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/hoan20180130.pdf

第5 店舗型性風俗特殊営業の定義について(法第2条第6項関係)2 店舗型ファッションヘルス営業(法第2条第6項第2号)(2) 「ホテルヘルス」等と称して派遣型ファッションヘルス営業を装いつつ、レンタルルーム、ラブホテル等を営む者と提携して個室を確保しているような場合も「個室を設け」に該当する。

 「ホテル代込○○○○円!」などというキャンペーンを行っているお店をよく見かけますが、上記判例や「解釈運用基準」に照らし合わせると違法性が高いと考えるべきでしょう。ホームページ上でレンタルルームやラブホテルと提携しているとみなされるような記載は控えるようにしましょう。

東京高判平成17年6月30日 東京高等裁判所刑事判決速報速報番号3250号

出典:須賀正行「研修講座 判例紹介 いわゆる派遣型マッサージ店の経営者が、隣接するレンタルルームの個室につき,実質的には、個室マッサージ店における自店内の個室と全く同様のものとして使用していた場合には、個室を設け、同所において性的サービスを提供する営業を営んだと評価できるとしたうえ、風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律28条2項違反罪の主観的要件として、営業者に同法ないし同法施行条例の営業禁止規制を潜脱する意図が存する必要はないとして、原判決を破棄した事例。」
『研修』692号 2006年2月 81~84ページ

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